自己愛性人格障害との離婚の記録

調停、裁判、2年かけて自己愛性人格障害の夫との離婚までの道のりを綴ります

義姉からの謝罪

夫には姉がいる。外国で仕事をしていた賢くて立派で優しい義姉だ。40を過ぎ国際結婚し可愛い甥っ子を産み、優しい旦那様と今も外国で暮らしている。

独身の時は帰国する際には我が家に1週間近く滞在したり、とにかく娘達をわたしを本当に愛し大事にしてくださっていたと唯一心から思う夫の家族。

別居となってからも定期的に絵葉書が届く。 封書ではなく絵葉書と言うところも義姉らしい気遣いだと思う。 義母や夫からくる手紙は封書だ。わたしは中身を確認出来ず娘達に渡す。 思春期の難しい年頃であり、テスト前だったり、内容によっては、タイミングが必要な場合があるが、御構い無しに封書はくる。 義母に関しては、義姉が帰国しているときは、差出人を義姉にしてくる事もある。 そんな小細工しなくとも渡すのに。

義姉はいつも同時に3枚の絵葉書をくれる。 一枚はわたし宛、一枚は眞子へ、一枚は利子へ。

今回も3枚の絵葉書がきた。 わたしへはわたしを気遣う言葉とわたしへの感謝の言葉が沢山並んでいた。 眞子と利子へは"心を傷つけるような事が起きてしまい、胸を痛めています。そして何より、大人を代表してお詫びします。苦しませてごめんなさい"とあった。

別居後、娘達へ初めて夫側からの謝罪状だった。娘達が何を望んでいるのかを、夫や義父、義母へ感じている違和感を感じとり、謝罪状を"大人を代表して"送ってくださったのだ。

本来なら夫や義父、義母がすべき事を、義姉が行ってくれた。 子供達は夫へ義父母、義姉へ、手紙を書く際はいつも書いていた。 "パパに謝られてもいない"という事。 夫からは言い訳しかこない。義父や義母からすらパパを正すよう促すとすら書かれている事もないし、謝ることすらないどころか、遊びおいでだの声を聞かせてだの…パパがしてきた事は無かったことにされている。 子供であろうと謝罪は必要だ。謝罪を飛び越え、遊園地でも映画でも行きたい時はパパが連れてくよ!って話の前にまずごめんなさい。 遊びにおいでよ〜飛行機代いつでもあげるよ!って話の前にパパがした事ごめんなさいでしょ。 "金がない"しか言わない夫の代わりに働いて援助してくれているわたしの両親へ、ごめんなさいもありがとうもない。 そういう部分に子供であっても違和感は感じる。飴で釣る事など出来ない程の事をしてきたのだから。

娘達はわたしの父や母がくると"ありがとう"ときちんとお礼を伝える。 父が仕事帰りにお米やら食材を届けてくれた時に眞子が"ママは立派なパパがいるから、眞子の気持ちがわからない"と言った事がある。

わたしや両親は良かれと思い父親の背中を見せてきたが、眞子には父と夫の"父親としての背中"が違いすぎて苦しくなる事があったようだ。

両親と話して父はおじいちゃんとして子供たちと関わってもらう事にした。わたしが両親に甘え過ぎていたのだと思う。

父は眞子と利子に"パパはこれから名誉挽回をしてくれる、いつかきっと、パパとママと眞子と利子の四人で又一緒にご飯を食べたりできる日が来るよう、パパが名誉挽回してくのを見守ろうね"と繰り返し言うようになった。

娘や孫の生活をめちゃくちゃにした男。土下座の一つも出来ない男。更には娘には良い格好ばかりし息をするように嘘をつくが、調停では"金がない"しか言わず、穏やかな老後を過ごしていた父がわたし達の生活を支える為に働いている事に感謝すらしていない男。離婚成立の報告時には"殺しても罪にならないなら殺したい"そんな風に言っていた父がロクでもない夫を"子供たちが父親を嫌いにならないように"とフォローしてくれていた。

母は"ばあばは眞子ちゃんと利子ちゃんが一番可愛い。おじいちゃんもおばあちゃんもきっと同じ気持ちだし、おじいちゃんもおばあちゃんもずっと2人を大事に想ってくれてるから手紙をくれるんだよ"と話してくれていた。

両親からしたらとんでもないロクでもない親子だが、娘達にとっては父親であり祖父母なのだから、せめて2人の前では"眞子と利子はみんなから愛されている"と伝えていこうと話した。

わたし達の気持ちはきっと義父母や夫には理解出来ないだろう。ただ、義姉だけは理解してくれるだろうとわたしは思っていた。

娘達はこの義姉の行為のお陰で吹っ切れたようだ。義姉だけはずっとわたしへも葉書を送ってくださり、気遣ってくださるのを知っていただけに、この謝罪状は娘達にとって大きな意味があった。

わたしは夫が自己愛性人格障害であると気付いてから沢山の文献を読み漁った。そして、義母の夫への関わり方が夫を自己愛性人格障害にしてしまったのだと思ってきた。 同じ家庭で育ったはずだが、夫と違い義姉には他人を思いやる気持ちがある。自分を特別視するねじれた気質もないし、自分を根拠なく褒め称えるため他人をこき下ろし、不都合なことを人のせいにする事もない。

義姉は大学卒業し就職して一人暮らしを始めた。そして、外国へ行った。 おそらく、わたしが文献を読み漁り夫への対処法を身につけたように、義母との距離を保ち自分を守る術を無意識に身につけていたのだとわたしは思っている。

親子、姉弟の関係は切れない。だからこそ、距離を保ち、冷静にわたし達へこのような配慮をしてくださったのだと感謝している。

義父でもない義母でもない夫でもない。 義姉だけが夫がしてきた事がどれほどの事であるかを理解し、夫の代わりに子供達へ謝罪をしてくれた。

眞子へお願いし、義姉にお礼を伝えて貰った。眞子と利子を大事に想ってくださるお気持ちに心から感謝をしますと。

子供たちの人生を狂わせてしまう程のことをしてごめんなさいが言えない。そんな常識も分別もない人達の中で義姉が自分を保つのは大変な事だったと思う。 義姉が外国で素敵なパートナーに出会い子宝に恵まれた事、義姉に"本当の家族"が出来たこと、それが何より嬉しい。 義姉が義父母や夫と同じではない事がわかり、娘達も"血"ではなく、自分次第だとだとわかった事が救いとなった。

''パパは結婚詐欺師だったんでしょ。逮捕されたりしない?逮捕されたら犯罪者の娘になるから、早く離婚して"と以前娘が言ってきた事がある。

こんな風に子供に思われているような事をしてきて、謝罪すらないのはおかしいと思う。しかもそれが父親だと言うのが娘達には辛い辛い事だろう。

残念な事にこの姉の行為は後に姉を追い込む事になる。姉は間違った事は何一つしていないのに。